今年2020年に生誕250年を迎えたベートーヴェンは、
フォルテピアノの進化に大きく関わった重要な人物です。
幼少期のチェンバロから、最晩年の6オクターブ半のグラーフ製へと、
ベートーヴェンの人生はピアノの変遷とともにありました。
桐朋時代から、フォルテピアノでのアンサンブルにも取り組んできていたのですが、
フォルテピアノをじっくりと向き合うことが留学中にありました。
わたしは、アントン・ワルター(1752~1826)のフォルテピアノを演奏することが多かったです。
クラヴサン、パイプオルガン、フォルテピアノ、モダンピアノ、
とたくさんの鍵盤楽器を一度に触れることの多い時期だったので、
それぞれの楽器をコントロールするために、何となく、脳の中というか、体の中というのでしょうか、切り替えスイッチ、のようなものが出来上がっていたように思います。
それでも、タッチがそれぞれ違い、また楽器の中でも個体差があるので、
練習する楽器の順番などには、かなり気を付けていました
小柄なので、フォルテピアノの膝ペダルを使うのは、
先生が要らなくなった書物を用意して足置き台にしてくれるのですが、それでも足りず、、
という場面は毎週よくありました。
さて、ベートヴェンの作品の中には、マンドリンとチェンバロのために書かれた曲があります。
マンドリンとチェンバロのためのソナチネハ短調WoO.43a (1796) マンドリンとチェンバロのためのアダージョ変ホ長調WoO.43b (1796) マンドリンとチェンバロのためのソナチネハ長調WoO.44a (1796) マンドリンとチェンバロのためのアンダンテと変奏曲WoO.44b (1796)
ベートーヴェンが25歳のころの作品です。
作曲家フランティシェク・ドゥシェック(1731〜99)とその夫人でソプラノのヨーゼファ(1754〜1824)を中心とするサロンは、プラハの音楽文化の象徴的な存在でした。
このサロンの常連のクラリ伯爵令嬢ヨゼフィーネ(1777〜1828)のために、マンドリンとチェンバロのための二重WoO.43a、43b、44a、44b)作曲しています。
Adagio for Mandolin and Harpsichord WoO 43b
Ekaterina Skliar (mandolin) Anna Kislitsyna (harpsichord)
さて、この楽器の組み合わせで、日本人作曲家も作品を書かれています。
作曲家たかの舞俐さんが2001年作曲された《沈黙の光、Silent Light》は、チェンバロとマンドリンのための作品です。
たかのさんは、フライブルク音楽大学でブライアン・フォーニホウに師事し、その後ハンブルク音楽大学でジェルジ・リゲティに師事されています。
リゲティに習われたなんていいなぁ!
リゲティに会って、色々チェンバロ作品についてお尋ねしたかった!
これまで、ギターや三味線など、弦楽器とのアンサンブルは、何曲か取り組んできました。
チェンバロとの音の混ざり合いがとてもよいと感じています。
マンドリンとのアンサンブル、必ず実現させたい!
話があっちこっちしますが、、
最近楽譜の整理をしています。
機械的にこれは、こっち これはあっち と分別していけばいいのに、
楽譜を手に取ると、つい譜を読んでしまったり、
演奏したときの気持ちや、
パートナーを務めていただいた方のことを思ったりと、
全然はかどらないんですよね。。
再演したい曲、そして、これから取り組みたい曲、た~くさんありすぎて、
この人生をかけても弾ききることのできる量ではないのですが、
ひとつでも多く、わたしの好きな作品、演奏したい作品、
チャレンジしていきますので、これからも温かく見守っていただけますと幸いです。
今日は、誕生250年を迎えられたベートヴェンさんから、楽器の話、コンテンポラリーの話、と、色々な展開となりました。
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