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Mamiko Someda

ダングルベール讃  松宮圭太 さん

更新日:2021年5月27日

12月3日(火)の《たゆたう真珠》にて演奏させていただく作品と作曲家さんのご紹介です。



🏁 ダングルベール讃 (2011, 2019) 松宮圭太 Keita Matsumiya


論文を書くにあたり、クラヴサンが関わるアンサンブルやソロの作品を調べていた頃、 クラヴサンの調律法を駆使して作曲されている方いらっしゃるに違いない、と頭をよぎり探し始めていました。松宮さんの作品に出会えたのは帰国してすぐでした。


大好きなダングルベールということで、本当に嬉しいです。 今回リサイタルにあたり、改作していただきました! エレクトロニクスも聴かせていただき、わくわくしております。


リサイタルでは、エレクトロの授業の発表でも取り上げたダングルベールのプレリュードを演奏し、松宮さんの『ダングルベール讃』へといざないます。


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ダングルベール讃 (2011, 2019)



  2011年にこの作品に取り掛かった際、クラヴサン音楽へのアプローチのヒントとしてまず関心を持ったのが中期バロック音楽においてジャン=アンリ・ダングルベール(1629 - 1691)が行った様々な装飾法の分類であり、その方法に触発されて装飾や音型を分類化するところから始めた。

そしてこの楽器にはダンパーペダルが存在せず、残響およびダイナミクス、アーティキュレーションの変化をそれによってコントロールする機能がないという物理的制限が、却って古典作品の装飾法における創意に気づかせてくれることになった。

次に調律法に関心を寄せ、中全音律とキルンベルガー調律を敢えて同時に用いることによって、微分音音程を含む新たな音階および、音色と音の震えの混合体としてのビスビリャンド・トリルを獲得するに至った。

ミクスト音楽としての電子音響へのアプローチにおいては器楽と親しい音楽書法を模索し、双方のインタラクションによって音楽を構築する発想を得て作曲した。

その後、パリ音楽院楽曲分析クラスで行ったフランス音楽の鍵盤音楽史における鐘の音の表象の研究、振動現象に関心を抱くミカエル・レヴィナスの元で数年間助手として実地で携わった様々な作品制作、カサ・デ・ヴェラスケスでのアーティスト・イン・レジデンスにおいて鐘の音響をテーマに制作したギター小協奏曲などの経験を経て、

今回、本作品を改作することとなったが、弦の振動による音階と音色の狭間の響きへの関心、楽器演奏と電気的な振動装置から発せられる音響の構築、そしてその音楽表現上の融合状態の模索という現在の研究テーマが、本作品を最初に制作した当時の関心の延長上にあることを改めて確認した。

電子音響に関しては、中期バロック音楽においてクラヴサンの発音機構における制限から発展した装飾法と、初期ゲーム音楽においてPSG音源における同時発音数の制限から発展した波形とパルスによる音楽表現をなぞらえた音楽書法を模索し、ミクスト音楽としては、クラヴサンの二段鍵盤における二種の調律法、装飾法とPSG音源、楽器演奏と電気的振動といった異なるシステムの境界において生じる音色と音の震えの混合体としての音楽表現を試みた。 (文 松宮圭太)




松宮圭太 Keita Matsumiya (1980 -)

作曲家。愛知県立芸術大学音楽学部作曲専攻(音楽学)卒業。東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修了。 ロームミュージックファンデーション、メイヤー財団の両助成を得て2011年パリ国立高等音楽院作曲科第1高等課程(作曲学士)を首席で修了、2013年同科第2高等課程(作曲修士)、2016年同楽曲分析クラスを修了。

2011/12年IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)作曲研究課程を経て、アンサンブル・ルガールの創設者・所属作曲家としてパリを中心に音楽活動を行いながら、ミカエル・レヴィナスのアシスタントとして複数のオペラの制作に携わる。2016/17年、フランス政府、国民教育省の派遣によりマドリードのカサ・デ・ヴェラスケスにてレジデント・コンポーザー。

愛知県立芸術大学大学院非常勤講師を経て、2018年より大分県立芸術文化短期大学専任講師。 情報と即興への関心から、作曲制作における音響オブジェ、数理モデル、身体の理の相互協調を模索する。 2010年第8回武生作曲賞受賞、2015年第8回デステロス作曲コンクール・ミクスト作品部門佳作(1位空位3位)。フランス学士院および芸術アカデミーの指名により2016/17年第87代在マドリード・フランス・アカデミー会員。 クラングシュプーレン音楽祭(シュヴァーツ)から委嘱を受ける他、フランス国立ロレーヌ管弦楽団、アンサンブルTIMF、アンサンブル・ソニド・エクストレモ、カメラータ・ストラヴァガンツァ、ムジカ・ユニヴェルサリ、アンサンブル・ルガール、パリ音楽院卒業生オーケストラなどによって作品が演奏され、ミクスチュール音楽祭(バルセロナ)、アルス・ムジカ音楽祭(ブリュッセル)、サントル・アカント(メッス)、ブルターニュ国際サクソフォンアカデミー、統営国際音楽祭(トンヨン)、武生国際音楽祭、トーキョーワンダーサイトなどで作品が取り上げられる。創作は多岐に渡り「ギター小協奏曲」(ソフィア王妃芸術センター2017)、ハイブリッド・ヴィオラのための「奇想曲」(アルス・ムジカ、ブリュッセル2015)、舞台音楽「阿修羅」(大駱駝艦・壺中天2015)など。


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【Program】


金子 仁美 / 歯車〜ギリシャ民謡による A (作曲 2006年)


増本 伎共子 / 日々の移ろい (作曲 2018年)


Gyorgy Ligeti / Passacaglia ungherese(作曲 1978年) ※中全音律


Giles Farnaby / Toy • Giles Farnaby's Dream (作曲年 不明)

向井 響 / 美少女革命:転生 (作曲 2019年 初演) エレクトロニクス 島村 幸宏 さん


金子 仁美 / 歯車〜ギリシャ民謡によるB (作曲 2006年) ※中全音律+キルンベルガー第三番


Jean-Patrick Besingrand / S'enfuient les ombres (作曲 2019年 作曲 初演)


Jean-Henri d'Anglebert / Prélude en sol mineur (作曲 1689年) ※キルンベルガー第三番


松宮 圭太 / ダングルベール讃 (作曲 2011年/改作2019年 初演) ※中全音律+キルンベルガー第三番 エレクトロニクス 松宮 圭太さん



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【Ticket Information】 現音 Music of Our Time 2019  ペガサスコンサート 染田真実子チェンバロリサイタル 〜たゆたう真珠〜


2019年12月3日(火) 19時開演 東京オペラシティ リサイタルホール


インターネットでのチケット申し込みページ https://jscm.official.ec/items/22424519?from=widget


◉日本現代音楽協会 ☎️電話受付 03-6417-0393 ◉東京オペラシティチケットセンター ☎️電話受付 03-5353-9999




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