これまで、様々な楽譜とともに、舞台で演奏してきました。
ソロの楽譜や、アンサンブルの楽譜、通奏低音のバスラインのパート譜 などなど。。
最近は、タブレットをうまく使って演奏される方も増えてきていますね。
そんな時代の中、目がどうしても疲れてしまうのもあるのですが、紙楽譜を使い続けています。
ただ単に紙の楽譜が好きなのかもしれません!
さて、今回は、舞台での運命を決めるといっても過言でない製本にかける思いを、
書きたいと思います。
ちょっと長いですー!
こちらは、桐朋時代に試験で演奏したバッハの楽譜です。
こだわりとしては、プレゼントにいただいたリボンを製本した背に貼ったということです。
それ以外は、中身はただ縮小して譜めくりを少なくしたくらいです。
ちょっと、よれていますね。
写真がアップ過ぎて全体像がつかめなくすみません。。
こちらも、同じく桐朋で学生をしていたころに作った楽譜です。
バッハのイタリアンコンチェルト。
どうしても譜めくりなしで、演奏したくて、
縮小コピーして、切り貼り切り貼り。
この場合は、楽譜がチェンバロの譜面台に乗って、わたしの目線が追える範囲であれば、OK!
というのが一つの基準となるので、どちらかといえば、脳みその使用料は低い方です。
その心の余裕の表れなのか、文房具店で好きな紙を選んで、表紙に貼ったりしました。(笑
留学先で大好きになったコンテンポラリーの世界。
作曲家が指定されているtempoで演奏することによって、当然より作曲家の方が描いた音の世界に近づいていきます。どの時代の作品もそうですよね。
作品が手元に来るタイミング、超絶難しい作品だと、そのtempoに近づけるのが本番1週間前、数日前になってくることもあります。
楽譜が手元に来た当初、指定tempoで頭の中で演奏していた時は、
ここで譜めくりできるんじゃないかと踏んでいたところができなかったり、
ストップ操作の変更があったりすると、
両手ふさがってるやん、次めくれるのは、何ページ向こう(笑?
など独り言を言いながら楽譜を見ています。
そして、ここで問題となるのは、
すでに本番まで数日というなかで、譜面を切り貼りすることは、
かなりわたしにとって危険な行為ということです。
というのは、楽譜の中で、あるフレーズが、例えば、
このページの右上にある、
ここの手のポジションは下鍵盤がカプラーが入っている状態の中央で、
その後は4フィートをここで入れるのは不可能だからこの音符と音符の間のタイミングで入れておく、
など、複雑に脳みその中でインプットされていたことを、
再びバラバラにして切り貼りすることになります。
そんな危険なことは、わたしにはまだまだできないのです。。
ということで、楽譜の切り貼りを最小限に、そして視覚的、体動的な変更を最小限にするために、
楽譜の形状にもよりますが、最近は ”横移動譜めくり” が多いです。
楽譜を印刷する際にB4サイズにすると、
すごく難しい譜面も音符の大きさが大きくなるので、何というか、感覚的なことですが、
音符が大きいとなんだか安心させてくれます(笑
ということもあり、最近は巨大楽譜を横移動しています。
こちらは、昨年2019年12月のオペラシティでのリサイタルで改作初演として演奏させていただいた、松宮圭太さんの 《ダングルベール讃》 です。
こちらの作品は、チェンバロとエレクトロニクスとのアンサンブル作品です。
チェンバロとエレクトロの楽譜のスコア譜をいただきました。
松宮さんに了承いただき、今回もかなり楽譜を切り貼りいたしました。
松宮圭太さん 公式ウェブサイト keita-matsumiya.com/ja/bio/
どこで楽譜を横移動できるタイミングと時間があるのか、
毎日毎日大きな大きな楽譜を部屋中に並べて、頭の中で何度も演奏、実際に体を動かしてみては、
ここ行けるかも!?
ちがうかー
案外このタイミングでできるかも!?
ちがうかー
という作業が毎日のように繰り返されました。
そのこともあって、すでに切ってしまった、まだどこにも張り付けられていない、一段だけの部分がぺらーとある日もあって、当然練習をするときは、その一段の譜面を見て練習。。。なんて、日もありました。
なるべく譜めくりは、自分自身で行いたいということもあり、製本は、すごく気合が入り脳みそをフル回転させての作業です。
譜めくる動作が、作品の世界観が壊れないようにする
譜めくる動作、ストップを変える動作、
作品の中で起こるすべての動作が作品からあふれ出る音の世界とともにあるようにする
製本を行うとき演奏するときに大切にして、心がけていることです。
自分好みの心地よく気持ちよく演奏できる譜面が出来上がることは、
わたしにとって、とても大事で大切なことです。
これまで、たくさんの素晴らしい作品に出会わせていただいています。
この先も、大きな譜面を部屋中に並べて歩き周りったり切り貼り切り貼りするんだろうな、
なんて想像しています。
いいですね。製本していき楽譜が出来上がっていく時間、とても愛おしいです。